2010年5月26日水曜日

オーソモレキュラーという疑似科学・偽医療について

つい最近mixiのとあるコミュニティでアスペルガー症候群に対する治療と称して、オーソモレキュラー(正常生体分子医療?)という疑似科学・偽医療が紹介されてました。
簡略的にいえばポーリングを発祥とするメガビタミン信奉の流れを汲むようで、要するにビタミンなどの栄養を補給すれば病気が良くなりますよ、というもの。


最初に断っておきますが、私は専門家ではないし食事・栄養療法一般を否定するつもりも毛頭ありません。
栄養素の欠乏症には当然その栄養素を補うことは有効でしょうし、各種疾患に応じて適当な食事・栄養状態というものはあるでしょう。
しかしオーソモレキュラーは怪しげで根拠のないモノだと考えています。


オーソモレキュラーという言葉を私が初めて見たのは約5年前の2005年のことです。
私はそのころすでに双極性障害を発症し、治療を開始していたのですが、多分その関係もあり紹介されたのだと思います。
その当時「オーソモレキュラー」という言葉自体が日本ではまったくといっていいほど使われておらず、Googleで検索しても61件しかヒットしませんでした(現在は約3410件、それでも決して多くはないが)
その数少ないWebサイトでは統合失調症、うつ病や躁鬱(双極性障害)などを主に対象にしていたように思います。
最近ではアスペルガー症候群をはじめとする自閉症が狙われることが多いようですね。


そもそも自閉症が治療する対象になるのか自体疑問ですが、2005年当時から治療対象がやたら広かったのを記憶しています。
「オーソモレキュラー治療は、さまざまな症状に対して適用することができます。
統合失調症、そのほかの精神と心の病、子どもの行動・学習障害・自閉症、加齢への抗老化医療、アルコール依存症、中毒症、関節炎、心臓病や循環器障害、ガンなど多くの病気の治療に適用することができます。(オーソモレキュラー医学会のHPより)」
いくらなんでも対象を広すぎだろ(笑)、というのをまず感じました。


オーソモレキュラー医学会のHPでは主に統合失調症の治療について説明されているのですが
「統合失調症の治療の場合、米国統合失調症連合委員会が行った1500 名の患者追跡調査により、80%の回復率であることが報告されています。
別の医師団体からは、75%以上の回復率と、子どもの場合はより高い確率で回復していることが報告されています。(オーソモレキュラー医学会のHPより)」
本当ならたいしたものですが、「米国統合失調症連合委員会」なる団体がそもそも正体不明です。Googleで検索しますと
http://www.google.com/search?q=%22%E7%B5%B1%E5%90%88%E5%A4%B1%E8%AA%BF%E7%97%87%E9%80%A3%E5%90%88%E5%A7%94%E5%93%A1%E4%BC%9A%22
このHPしかヒットしません(笑) 英語名称も書いてませんのでこれ以上調べることも出来ません。


PubMedで「orthomolecular schizophrenia」を検索しても30件しかヒットしない上に関係者の論文か否定的なもののようです。それだけ論文になるようなちゃんとしたデータをとることもできていないわけで、本当に効くどうかは極めて怪しいものです。


心に関する悩みはとりわけ不安が大きいものです。
それに付け込むようなものがなくなることを強く望みます。

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